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はせくらみゆきのマンスリーことのは通信

あけの会 マンスリーことのは通信2023年4月

皆様、こんにちは。お元気ですか?
春爛漫の温かな季節がやってきました。
地域によってはまだ寒いよーというところもあると思いますが、
風は確かに春を告げていて、
柔らかな風の匂いや質感を感じるたびに、
なんだかほっこりと幸せな気持ちになります。

今、我が家のベランダからは、満開の桜が散りゆくところで、
ベランダの床面には、桜の花びらがたくさん降り注いでいます。
今朝、それを掃き清めたのですが、
桜の花びらを掃除できるって、なんと贅沢なことなのだろうと思いました。
薄紅色の柔らかな桜の花びらは、手で触るとすぐにくしゃっとなってしまいます。
そんなはかなげな装いなのに、それぞれの人の心に深く浸透していく風情。
なんとも情緒あるなぁと思います。
季節感がしっかりある国に生まれることが出来て、
有難いですね。

今月、あけの会では「春の集い」があり、
新作の歌舞のお稽古もあります。
そんなお稽古をしている時に毎回思うことなのですが、
ご指導をいただいている河内国一宮枚岡神社の宮司様の、
一挙一動の立ち居振る舞いがうっとりとするほど美しく、
見惚れてしまうのですね。
真似っこ、してみようと思うのですが、なかなかうまくいきません。
とにかく時間をかけて、ゆっくりと心と身体に染みていけたらと思います。

そこでふと、「美しい」とはどういうことなのだろう? と思いました。
同時に、美しいと綺麗との違いは何なのだろうと思ったのです。
それで調べてみてハッとさせられることがあったので、
皆様と分かち合いたいと思います。

まず、美しいとは、調和がとれていて心地よいとか、
立派である、調っている、ということを指す言葉になるとのこと。
対して、綺麗とは、見た目が美しかったり、調っていることを指す言葉で、
用法としては似たような意味を持ちます。

けれども実際に使用した感覚としては、
綺麗は主に目に見える世界に使われる用法で、
美しいは、目に見えない世界―内面も含んでの用法で使われると感じます。
たとえば、「綺麗な人」といわれるのと「美しい人」といわれるのは、
あなたはどちらが嬉しいですか?
もちろんどちらも嬉しいですが、やはり「美しい人」といわれる方が、
品があるというのでしょうか。内面から滲み出すものも含んでの表現だと感じませんか。

尚、余談ですが、「美しい」の言葉は古語では、「かわいい」という意味で
使われていたようですよ。漢字では「美し」の他に「愛し」とも書けるようです。
また、似たような言葉に「麗しい」がありますが、
麗しいは、美しさのよりパワーアップしたような言の葉で、
美しく、かつきちんとしていて調っている様を「麗し」とよんだようです。

となると、きれい⇒美しい⇒麗しい…へと年を重ねるごとに、
進化していけばよい、ということなんでしょうかね!?
なんだか遠い目になってしまいましたが(笑)、
「麗しの君」を目指して、ぼちぼち頑張りましょうか~。

では今月の雅楽です。
今月は越天楽今様(越天楽今様)の歌詞と曲をご紹介します。
尚、今様とは、平安時代中期に生まれ、鎌倉時代に流行った、
日本の歌曲の様式です。現代風に言うと、「流行歌」ということになります。
とはいえ、今から1000年前の流行歌ですので、「日本古謡」といわれています。
ちなみに有名なのが、「梁塵秘抄」です。
私の好きな歌―
「仏はつねにいませども うつつならずぞあわれなる
人の音せぬあかつきに ほのかに夢にみへたまふ」
もその中の一つです。

で、この度の謡―越天楽今様とは、あの有名な雅楽曲「越天楽」に曲をつけたもので、
皆様はおそらく、この歌付きの曲を、一度は聞いたことがあるのではないかと思います。
とにかく歌詞が美しい…いえ、麗しきなのでございますよ。

「越天楽今様」 慈鎮和尚作歌・日本古謡

春のやよいの あけぼのに
四方(よも)の山べを 見わたせば
花盛りかも しら雲の
かからぬ峰こそ なかりけれ
花たちばなも 匂(にお)うなり
軒のあやめも 薫るなり
夕暮さまの さみだれに
山ほととぎす 名乗るなり

今様の曲はこちらをどうぞ。

歌詞を創作したのは鎌倉時代の名僧―慈鎮和尚の作です。
歌の意味は、春、弥生の明け方に、周りの山々を見渡すと、
桜が満開なのでしょうか。雲のかかっていない峰はございません。
夏には橘の白い花が匂い、軒に咲く菖蒲も香るものでございます。
夕暮れには五月雨が降り、山ではホトトギスが鳴いております。
…というものです。

実は歌詞さらに、秋と冬に続くのですが、
歌では夏までで終わっていますので、とりあえず二番までご紹介しますね。

この今様の歌を、ぜひ、声に出して自分に聴かせていただけたらと思うのですが、
何とまぁ、美しく情緒ある言の葉たちなのでしょう。
まさしく言霊幸わう国の歌であると思います。

先人たちが残してくれた美しい言の葉に護られて、
心も身体も美しく、ミタマみたまま麗しく、
日々を調えられますように。

最後になりましたが、お知らせをもう一つ。
実は、あけの会の公式YouTubeを開設いたしました。
ゆっくりとしたペースではありますが、
和心をテーマに、その時々必要だと思われるテーマを、
発信していけたらと思っております。
家からzoomで収録したものを編集しました関係上、
画質としてはあまりよくはないのですが(ごめんなさい!)
音声はきれいに入っていますのでよければご覧くださいね。

第一回目はこちらです。


あけの会 ことのはチャンネル 第一回目「和とは何か?」

それでは本年度もどうぞよろしくお願い致します。
皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

はせくらみゆき 拝

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